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2025年6月18日【記事公開】自殺報道をどう伝えるか~記者から対策現場に移った私が考えたこと①
「自殺報道に答えはない」

          「Yahoo!ニュース エキスパート」で2025年5月13日に公開した記事を転載しています。

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朝、ネットニュースを眺めていて、ふと手が止まることがあります。

それは、有名人が自殺で亡くなったことを伝える記事であったり、複数人が特徴的な手段で亡くなったことを伝える記事だったり、さまざまです。

記者として働いていた頃の私ならば、きっと同じような書き方をしていただろうと思います。けれど、どこかに小さな違和感が残りました。


「報じる側」から「対策の側」へ


私は今、民間の自殺対策団体「一般社団法人 いのち支える自殺対策推進センター(JSCP)」に所属し、メディア関係者向けの自殺報道に関する勉強会を企画するなどの仕事に携わっています。その前は、2003年〜2021年まで、新聞記者をしていました。

元々報じる側だった私が、今は自殺対策の観点から、メディア関係者の皆さんに自殺報道に関する情報を提供し、「どう報じるか」を考えてもらう立場にいます。

記者時代を振り返ると、WHO自殺報道ガイドラインの存在は知っていたものの、自殺について報じるたびに「本当にこれでよかったのだろうか」という迷いを感じていました。

ガイドラインの「してはいけないこと」の項目を知っていても、突発的な事案を前に、実際の記事にどう落とし込んでいけばよいのかが分からなかったのです。

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         『自殺予防を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識 2023 年版』より引用



転職して、まず‟発見”したこと

そんな私が自殺対策の現場に移って「自殺報道」を担当し、まず感じたことは、「自殺報道には‟答え”がない」ということでした。それに気づいた時は、「発見」に近い驚きがありました。

「何をどう報じるか」は、事案ごとに異なります。だからその都度、報じることの「社会的な意義」と「リスク」を天秤にかけ、メディア関係者一人ひとりが悩みながら判断していくしかないのです。

このコラムでは、日々の自殺報道を見聞きする中で私自身が感じた迷いや葛藤、自殺対策の現場に移った今だから思うことなどについて、つづっていきます。

たわいない思考の軌跡ではありますが、誰かが「迷ったときの材料」になれたらと願い、このコラムで少しずつ共有していきたいと思っています。

■参考情報
JSCPの「自殺報道」に関する取り組み https://jscp.or.jp/action/press-outreach.html

【JSCP広報官・山寺香】

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◆記事を読んでつらい気持ちになったら。気持ちを落ち着ける方法や相談窓口などを紹介しています。

「こころのオンライン避難所」https://jscp.or.jp/lp/selfcare/

image-JSCP_kyori_oku.jpg

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<相談窓口をまとめたページ>

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